• HOME
  • >
  • お知らせ
  • >
  • 議会傍聴するのに住所氏名は必要?
  • 議会傍聴するのに住所氏名は必要?

    2016年05月26日

    仙台市議会議長 岡 部 恒 司 殿

    質 問 状

    平成28年5月12日

    仙台市青葉区一番町2丁目11番12号
    プレジデント一番町402号(〒980-0811)
    小野寺信一法律事務所
    TEL 022-267-5432 FAX 022-267-5439
    弁護士 小 野 寺  信  一

     私は議会ウォッチャー仙台のメンバーの一人です。そのため時々仙台市議会の定例会と委員会を傍聴しておりますが,常々疑問に思うことがあります。
     それは傍聴券に傍聴しようとする者の住所及び氏名を記入しなければならないことになっていることです。
     仙台市議会傍聴規則(以下同)第5条「傍聴券の交付を受けた者は,傍聴券に住所及び氏名を記入しなければならない。2 団体傍聴券には,団体名,人員及び引率者の氏名を記入しなければならない。」の規定に基づいて,このような義務を傍聴人に課しているのでしょうが,この規定そのものに合理性があるのかということです。
     私がこの規定に合理性がないと考える理由は以下のとおりです。

    1.第11条の傍聴席に入ることができない者との関係
     第11条1項1号から4号は傍聴席に入ることができない者を例示し,第5号ではそれらを含め「前各号に定めるもののほか,会議を妨害し,又は人に迷惑を及ぼすと認められるものを持っている者」は傍聴席に入ることができないと定めていますが,傍聴券への住所・氏名の記載はこの判断に必要な事項ではありません。傍聴券に住所・氏名を記載させなくても,傍聴席に入ろうとする者の行動・態度(外形)によって判断を下すことは可能です。

    2.第12条の傍聴人の守るべき事項,第13条のビデオ,映画等の撮影及び録音等の禁止との関係
     これらも傍聴人の行動・態度(外形)によって判断を下すことは可能であり,傍聴券に住所・氏名を記載させることは不必要です。

    3.裁判所の傍聴との対比
     裁判所も第11条~第13条と同趣旨の規則が設け,傍聴券を発行することもありますが,傍聴券を発行する場合であっても傍聴券への住所・氏名の記載は不要です。
     裁判所の傍聴にとって必要でないことは,議会の傍聴にとっても必要でないと判断されるべきです。

    4.記載された住所による区別との関係
     記載された住所によって,傍聴できる人と傍聴できない人を区別しているのであれば,傍聴券への住所・氏名の記載は必要ですが,仙台市に住んでいない人でも自由に傍聴できることからすれば,傍聴券に住所を記載する必要性はその意味でもありません。

    5.本人確認との関係
     傍聴しようとする者に身分証明書を提示させ,記載が事実かどうかチェックする仕組みになっていない以上(虚偽の住所と虚偽の氏名を書いても傍聴できる以上),本人確認との関係でも傍聴券への住所・氏名の記載は意味がありません。

    6.傍聴券の保管と活用
     傍聴人の住所・氏名を記載した傍聴券を誰がどこで何年間保管する仕組みになっているか不明ですが,上記のような意味しかない傍聴券は保管する必要性に乏しく,保管中の活用もなされていないはずです。その意味でも傍聴券への住所・氏名の記載は不必要です。

    7.他の施設への入場の場合との比較
     市役所・図書館等公の施設に入る場合,入るだけであれば住所・氏名を何かに記載することは通常ありません。
     議会の傍聴席に入る時だけ傍聴券へ住所・氏名を記載させる理由が不明です。

    8.他の議会との比較
     資料1~7のように傍聴券への住所・氏名の記載を不要としている議会が多数あります。資料7の白老町議会は「会議の傍聴に関する一切の手続きは,必要としないものとする。」(第4条)と定めています。これは傍聴券への住所・氏名の記載が傍聴の秩序維持にとって必要ではないことを示しています。

    以上のように傍聴券への住所・氏名の記載を要求している5条は合理性のない規定です。速やかに5条を削除する方向で仙台市議会傍聴規則の改正を行うべきと考えますがいかがでしょうか。改正しないなら,合理性についてご説明ください。
    平成28年7月末日までに文書にてご回答くださいますようお願いいたします。

    以 上

    質問状資料1~7.pdf